蜂蜜酒の魅力
甘味としてのハチミツと洋食文化
私も日本に居た頃は、ハチミツなんて年に一回買うかどうか、たまに気が向いた時、ホットケーキのシロップに使うぐらいで、商品棚をチェックすることさえありませんでした。
しかし、ポーランドに来てから、その消費量は毎月1000ml超え。
市場で買ったオール・ナチュラルのハチミツ250ml入りボトルがあっという間になくなってしまうのですから、本当によく食するようになったとつくづく思います。
ちなみに、私のこだわりアイテムは、「蕎麦の蜜」と「針葉樹の蜜」です。
主な使い道は、「料理」「シリアルやケーキのトッピング」ですが、やはり一番量を使うのが「お茶の甘味付け」です。
紅茶やハーブティーは言うに及ばず、緑茶にもたっぷり使います。
「緑茶」と言っても、いわゆる「煎茶」や「玄米茶」のような日本茶とは大きく異なり、一口に言うなら「紅茶の緑バージョン」。
紅茶から紅色を抜いたような苦みと渋みがあり、ストレートで飲むのはかなりきついため、どうしても甘味が欲しくなるのです。
もちろん、ポーランドの人がみなお茶の甘み付けにハチミツを使っているかと言えば決してそうではなく、白砂糖を使っている家庭も多いです。
ただ、美容と健康を考えるなら、工場で大量生産された白砂糖を使うより、天然のハチミツの方が栄養面でも、味の面でもはるかに優れていることから、我が家では「ハチミツ」が欠かせないんですね。
では、なぜ、それほど甘味のきいたお茶が欲しくなるのか。
理由の一つには、「洋食文化」があると思います。
たとえば、和食の場合、肉じゃがでも、おでんでも、うどんでも、味に立体感を出すために少量の砂糖を使いますよね。
でも、洋食は、バター、生クリーム、ハーブ、スパイスで、肉の臭みを消し、味に味を重ねてゆきます。
和食の「素材の旨味を引き出す」というのとは、ちょっと趣が異なるんですね。
洋食の場合、料理にほとんど砂糖を使わないせいか、食後に、モーレツに甘みが欲しくなります。
そこで「デザート」。
食事が終わると、必ずと言っていいほど、ケーキやクッキーが出てきます。
男性でも、生クリームがたっぷりのケーキをむしゃむしゃ。
この辺りで、「食文化が違うなぁ」とつくづく思うわけです。
我が家では、甘味の補給に、ハチミツたっぷりのお茶を出すようにしています。
レモンとハチミツが利いたハーブティーや紅茶を飲むと、不思議とケーキやクッキーを欲しいと思わなくなるからです。
お茶の甘味はもちろん、料理の味付けやトッピングに欠かせないハチミツ。
特に、醤油との相性は抜群なので、砂糖の代用として取り入りてはいかがでしょうか。
蜂蜜酒を使ったカクテル・レシピ
ポーランドの蜂蜜酒Miód Pitny(ミュト・ピトヌィ)は、食前酒もしくはナイトキャップとして、小さなショットグラス(もしくはスリムなリキュール・グラス)に入れて飲むのが一般的ですが、ジュースやウォッカ等を加えてカクテルとして楽しむこともできます。
いくつかのレシピをご紹介します。
各レシピの名称の左側がポーランド名、右側が英名になります。
Zapomnienie(ザポミニェニェ=忘却) / Oblivion (オブリヴィオン)
* Trójniak Bernardyński mead 50 ml
* トニック 50 ml
* レモンジュース 5 ml
![]() |
|
Nic nie robić (ニッツ ニエ ロビチ=何もしない)/ Lazy Boy(=怠け者)
* Dwójniak Kurpiowski mead 50 ml
* ラム酒 30 ml
* レモンジュース 10 ml
* パイナップス・スライス 少量
![]() |
Wiosenny czar(ヴィオセヌィ チャル =春の陽ざし) / Spring delight
* Czwórniak Korzenny mead 80 ml
* ミネラルウォーターもしくはアップルジュース 60 ml
* レモンジュース 10 ml
* ミントチョコレート 数滴
* レモンスライス
* デコレーション用のミントの葉
![]() |
Marzenie Jadwigi (マジェニエ ヤドヴィギ=ヤドヴィガ女王の夢)/ Jadwiga’s Dream
* Półtorak Jadwiga mead 40 ml
* ウォッカ 20 ml
* ラム酒 20 ml
* トニック 40 ml
* レモンジュース 10 ml
* パイナップル・スライス 数枚
* オレンジ・スライス 数枚
![]() |
Sarmata Kusiciel / Sarmata the Tempter
* Dwójniak Kurpiowski mead 60 ml
* ウォッカ 30 ml
* グレープフルーツジュース 10 ml
![]() |
ポーランドの蜂蜜酒は冬のリゾートがよく似合う
「甘いお酒」と言うと、梅酒みたいに冷蔵庫でキリっと冷やし、レモンを添えて……というイメージがありますが、ポーランドの蜂蜜酒は冬の寒い日にHOTで飲むのがおすすめ。
もちろん、Gożdzikiを添えてね。
Godzikiは英名「クローブ」、日本では「丁字」と呼ばれる香辛料で、鼻につーんと抜けるようなスパイシーな香りがします。
西欧では古くから豚肉や牛肉の臭い消しに使われ、日本でもカレーやステーキなど洋食を引き立てるスパイスとしてよく使われています。
そしてこのクローブ、ビールやワインに加えて、とろ火で温めると、非常に香り豊かな飲み物になります。
特に冬の寒い日、かじかんだ手を温かい陶器に当てて、ちょびちょびといただくgrzane piwo(ホットビール)やgrzane wino(ホットワイン)の味はまさに雪国の妙。
日本のおじさん達が、北海道の港町の居酒屋で、熱燗をいっぱいやりながら「うめぇ~~」と唸るのと同じく、ポーランド人もgrzane(温めた)なビールやワインを片手に、「fajnie :)」(=ファイネ 素晴らしい)と笑みをこぼすわけですね。
こちらはGrzany miód pitny(温かい蜂蜜酒)の作り方。
750mlの蜂蜜酒にオレンジピールとシナモンを少量、カップに半量のGodzikiを加えて、10分から15分ほど弱火で温めます。
美味しく作るコツは、沸騰させないこと。
よく温まったら、kufel glinianyと呼ばれる土製のジョッキやKubek(マグカップ)に注いでいただきます。
左がジョッキ、右側がマグカップ。
冬の山岳リゾートで見かける蜂蜜のスタンドはまた格別。
ハチミツ、蜂蜜酒はもちろん、はちみつで作ったロウソクや、アーモンドの蜂蜜漬けなどを売っています。
Miód Pitnyの種類と作り方
ポーランドの蜂蜜酒Miód Pitny(ミュト・ピトヌィ)は、使用されるハチミツの濃度や製造法や醸成年月によって主に3種類に分けられます。
濃度の高く、醸成年月の長い順番から、Półtorak(プウトラク)、Dwójniak(ドヴイニアク)、Trójniak(トルイニアク)となります。
他に、数ヶ月で醸成できるCzwórniak(チュフルニアク)、Piątak(ピョンタク)という軽いタイプもあります。
Miód Pitnyの著名なメーカーであるApis社のレシピを具体例に挙げると
Półtorak(プウトラク)── 水1リットルに対し、ハチミツ720グラム。少なくとも10年は醸成。
Dwójniak(ドヴイニアク)── 水1リットルに対し、ハチミツ610グラム。約7~8年かけて醸成
Trójniak(トルイニアク)── 水1リットルに対し、ハチミツ420グラム。約2~3年かけて醸成。
もう少し詳しく見ていきましょう。
Miód Pitnyの作り方は各家庭で様々であり、ウェブサイトでもいろんなレシピが紹介されています。
日本でもネットの有志がレシピを公開していますので、「蜂蜜酒 作り方」で検索してみて下さい。
(アウベルクラフトに写真入りの詳しい説明があります。手作りミードキット(発酵ビン・ハーフガロンタイプ)
も販売しています。)
主材料は、水、ハチミツ、酵母菌、クエン酸。
これにハーブや果実シロップを加え、味と香りづけをします。
製造過程をおおざっぱに説明すると、まず水、ハチミツ、酵母菌を使ってアルコール成分を自然に発酵させ、「brzeczka(ブジェチュカ)」と呼ばれる中間物質を作ります。(何とも翻訳のしようがない)
これはあくまでイメージ画です。
このbrzeczkaをさらに数週間かけて発酵させた後、10度から15度ぐらいの温度に保たれた暗所で何年もかけて醸成します。
その後、醸成酒をこして上澄みを取り出し、保存します。
ポーランドの場合、このbrzeczkaに、名産であるブラックカラント(黒すぐり)、ラズベリー、ローズヒップのシロップ、香草などを加えて、独特の甘みと香りを醸し出します。
その最大の特徴は、琥珀をとかしたような黄金色の輝きと、濃厚かつ上品な甘さ。
「ポーランドの蜂蜜酒を体験すると、他のものでは満足できなくなる」くらい魅せられてしまうのです。
奇しくも、蜂蜜酒をイメージする『琥珀』は、ポーランドの名産(バルト海方面)であり、愛を咲かせる宝石、「永遠」や「豊穣」を意味するパワーストーンとして知られています。
もしかしたら、ポーランドの蜂蜜酒は、琥珀の幸福な輝きを模しているのかもしれません。
『手作りキットの店 アウベルクラフト』
「手作りミードキット(発酵ビン・ハーフガロンタイプ)」です。
ショップサイトに蜂蜜酒の作り方も紹介されています。
ただし、日本では、無許可に作ることは酒税法で禁止されていますので、あくまで趣味の範囲でどうぞ☆

ポーランドの蜂蜜酒『Miód Pitny(ミュト・ピトヌィ)』について
ポーランドと言えば「ウォッカ」が圧倒的に有名ですが、それに負けず劣らず愛されているのが『Miód Pitny(ミュト・ピトヌィ』と呼ばれる『蜂蜜酒』です。
英語では「ミード」といい、日本でも少しずつ普及しつつありますが、知名度としてはまだまだ。
ハチミツからお酒が作れるということさえ、あまり知られていないのではないでしょうか。
しかしながら、ハチミツを使ったお酒造りは紀元前から伝えられ、結婚を祝うおめでたいお酒として、ディナーを盛り上げる食前酒として、世界各地で愛されてきました。
ポーランドも例外ではなく、その歴史は1000年以上も前にさかのぼります。
濃厚なハチミツをたっぷり使ったMiód Pitny(ミュウト・ピトヌィ)は、主に「シュラフタ」と呼ばれる貴族階級により秘伝の製法が受け継がれてきました。
やがてそれは下々にも伝えられ、今でも町の市場やイベントを訪れると、ホームメイドの蜂蜜酒が売られている光景をよく目にします。
材料さえ揃えば、何でもささっと手作りしてしまうポーランド。美味しい自家製蜂蜜酒は、我が家の宝であり、お客様への最高のもてなしなのです。
写真:ślonzki EKOMUZEUM RZEMIOSŁA W DOBKOWIE
そんな秘伝の味をぎゅっと凝縮し、世界各地に販売を展開している蜂蜜酒メーカーが幾つかあります。
もっとも有名なのは、ルブリンに本拠地を置く『Apis(アピス)』。
観光地としても有名なクラクフの『ベネディクト修道院』。
新鮮で高品質なハチミツを欧州各国に販売する『Krórewskie-miody』などなど。
他では経験できない濃厚かつ高貴な味わいをぜひお楽しみ下さい。
写真は『Apis』の人気銘柄。
左から、Dwójniak Kurpiowski、Pótrak Jadwiga、Kurpiowski、Trójniak Kasztelański





















